個人誌『 大澤真幸 THINKING「0」』

社会学者の大澤真幸さんの個人誌『 大澤真幸 THINKING「0」』(左右社)が創刊されました。

この雑誌は「読み手を啓蒙(けいもう)したり情報提供したりする形式ではなく、自ら考え、判断することへいざなう雑誌を作りたい」という意図のもと、大澤さんがゲストと対談し、その対談内容を受けた論文を掲載していく構成になります。

この時期に個人誌というのはめずらしい。というより、すでに雑誌はその役割を終えたともいわれている時期に、いまなぜ個人誌をという思いがあります。しかし、大澤さんは「自ら考え、判断する」ことのために発行するといいます。

この「自ら考え,判断する」という個人の力が衰弱していることは今改めて言う事でもありません。それを気づかせ、考えさせ、判断させるという方向へ。この雑誌が誘うわけです。敢えてそれに挑もうとする大澤さんの手腕に期待したいと思います。

個人を誘うだけでなく、自らが気づき、考え、判断することができるようになればさらにいい。そこまでの階段がどれだけあっても、ぜひそのゴールをめざしてほしいと思います。

また、雑誌の休刊・廃刊が続いている中で、この雑誌を創刊する左右社*1という出版社の発行人小柳学さんの勇気にも拍手をです。この出版社は先に紹介した管啓次郎さんの『本は読めないものだから心配するな』を出版した版元です。

大澤真幸THINKING「O」創刊号



*1:同社のHPを見ますと、2005年に設立された、まだ新しい出版社ですが、ここに来て少しずつ注目度がアップしているのではないでしょうか。社名は石川九楊さんがつけてくれたそうです。その由来は同社HPを参照してください。