元旦の新聞より

元旦の新聞は広告も含めるといつもの倍以上の厚さで、今年の政治、経済、社会、文化の記事が満載されています。各メディアとも元旦の新聞に力を入れています。それにしてもその量には毎年圧倒されます。

元旦の新聞には新年の記事もさることながら、大企業の広告が賑やかに掲載されています。昨年業績のいい企業であればあるほど、新聞広告を通して、企業や商品のイメージアップを図ろうとします。

出版各社も決して業績が良いわけではないのですが、なぜか毎年元旦の新聞広告に力をいれています。これほど本の広告を掲載するのもめずらしいのではないでしょうか。他の国々と見比べてみたい気がします。

驚いたのは村上春樹さんの『1Q84 』のBOOK3が今年の4月に出版されるという新潮社の広告でした。昨年は『1Q84 』がベストセラーになり、この小説に終始した感があります。

しかし、あまりに突然の告知です。これは当初からの予定でしょうか。予定としてあったのかもしれませんが、それを見落としていたのか。あるいは大ヒット作品の勢いか。

いずれにしても、こういうこともあるのです。今年の4月は残酷な月でなく、期待の月になりそうです。果たして村上さんの『1Q84 BOOK3』の物語はどう展開し、どう完結するのでしょうか。

1Q84 BOOK 1       1Q84 BOOK 2



また、朝日新聞では「読むスタイル」を題して、読書特集をしていました。その中で、「読むワザ」として、作家 大江健三郎さんのワザを、作家 吉岡忍さんのワザを、ブロガー 小飼弾さんのワザを紹介していました。

大江さんは読書カード方式(近頃は読書ノートに切り換えたそうです)とつながりの読書をしています。吉岡さんはPCの中に図書館を作り、その図書館を活用しています。また、小飼さんは自ら書評ブログを開設し、1日15冊読破しているそうです。この冊数は凄い。

それぞれが自分の「読むスタイル」を確立しています。そこに至るまでは試行錯誤の積み重ねがあったと思います。私は自分の「読むスタイル」をいまだ確立できていませんので、大いに参考にしたいと思います。

同じ特集の中に「装丁の世界」という記事がありました。この記事では装丁家菊地信義さんが装丁と装丁家について簡潔、明瞭に話をしていました。

<装丁の目的は、書店で人の目をとめて手に取られ、読みたいという思いを生み出すことに尽きる。>

(装丁家は)<いつも新しいコンセプトで、読者に驚きを与える表現を見つけることが大切だ。>

30年間で1万8千冊の本の装丁をやってきた菊地さんの言葉に尽きるのではないでしょうか。売るから買うに至るまでの創意工夫の中で、装丁は重要な要素です。

装幀=菊地信義の本