「現代詩手帖」50年の歩み

9/23の日経新聞の朝刊に、小田久郎さんが<「現代詩手帖」50年の歩み>について書いていました。日経新聞の文化欄は時々意外な人を取り上げ、意表を突く記事を掲載します。

かつて現代詩は難解で勝手な言葉遊びに過ぎないと言われていました。そう言われてから久しいのですが、「現代詩手帖」(思潮社)はその現代詩を正面から取り上げ、50年もの年月を一緒に歩んできたのです。

当初あった詩の雑誌「詩学」、「現代詩」、「ユリイカ」などは買わない・売れない状況で軒並み窮地に追い込まれました。しかし、そうした苛酷な状況下で、どうにか生き延びたのは「現代詩手帖」と「ユリイカ」だけです。

思潮社は生き延びるために、取次店との交渉、書店との折衝を着実に行い、全国各地に特約店を増やしていく努力を怠りませんでした。そうこうするうちに徐々に賛同者も増え、今に至るまで継続できたのです。

小田さんは95年に『戦後詩壇詩史』(新潮社)を出版しました。その詩史は戦後20年までの動きしか記されていません。小田さんのあと残る仕事は<私個人としては詩史を書き続ける仕事が残っている>といいます。

こういう人がいるからこそ、現代詩のいまがあるのです。そして詩のこれからのために、残りの詩史をぜひ書いてもらいたいと思います。

現代詩手帖 2009年 09月号 [雑誌]