亀山郁夫さんの「ドストエフスキーとの旅」

毎週日曜の朝刊が待ち遠しい。それは日経新聞に掲載の亀山郁夫さんの「ドストエフスキーとの旅」を読みたいからです。

この連載が回を重ねて、今回で38回。私がこうした連載を読む続けることもめずらしいことです。いつもですと、単行本になってから読めばと思うのですが、今回ばかりは違います。

この連載はドストエフスキーとの旅なのですが、亀山さんがドストエフスキーのことを書きながら、自分のことを語っています。また逆の場合もあります。この交差に強く惹かれます。

例えば、今回はドストエフスキー太宰治を取り上げながら、自分自身の太宰体験を語り、太宰になかったものは何かを考え書いています。こうした点がなるほどと納得してしまいます。

<(前略)しかし、一度、死刑宣告を潜り抜けた彼には「奪われる」という現実を乗り越える、したたかな生命力が隠されていた。それこそは、太宰にはないマゾヒズムの力だった。私が思うに、太宰がマゾヒストだったことは一度もない。>

ドストエフスキー父殺しの文学〈上〉 (NHKブックス)        ドストエフスキー父殺しの文学〈下〉 (NHKブックス)



また、この連載によって一人の画家を知ることができました。その人は北見隆さん。この連載のイラストを担当しています。そこでは人がなぜか不安定で、妙なバランスの中で、不思議な雰囲気を醸し出しています。

(この亀井さんの文章と北見さんのイラストはどこかつながっているのですが、その結び目を探しあぐねています?)

そこで北見さんとはどんな人かについて、早速ネットで検索をしました。そこで北見さんのHP「北見隆 FROM THE STUDIO」を見つけました。

(こういう点がネットのいいところです。ネットがなかったらと考えると、ちょっと空恐ろしくなります。)

北見さんのHPを見終わると、あのイラストはどこかで見た情景、何か懐かしい記憶のようでもあるのですが、どうでしょう。

夢から醒めた夢