ぜひ読んでみたい夏休みの一冊

本の整理をしていると、いままで読んだ本で、忘れている本もありました。それが福田和也さんの『晴れ時々戦争 いつも読書とシネマ』(新潮社)。この本は読書とシネマについての「Cultural Chronicle 2002〜2003」です。

かつてこの本を読んで、そのまま積読本の中に、今日再び「発見」しました。ぱらぱらとめくっていくと、一ヶ所だけ付箋が貼ってありました。その箇所を読んでみると、これが面白い!

まず、書き出し。

<今回はマクラなしでいきますが、『昭和の劇 映画脚本家 笠原和夫』(太田出版)。これは、本当にすごい、ものすごい本です。手にして、表紙を開き、絶句して興奮をした。>

そして、最後。

<笠原氏は、現在の世相をきわめて危ぶんでいらっしゃいます。映画は脚本で決まる、というのは云い慣わされたいいまわしですが、まさしくあらゆる意味で、つまりは映画だけでなく、社会全体が脚本家をもてなくなったのが、今のわが国ということになるのでしょう。>

この始めと終わりの間に、福田さんの思いが綴られています。その思いがほかの書評よりもかなり熱く、その興奮が読者に伝わります。こういう書評もめずらしいのではないでしょうか。

この本はぜひ読んでみたい夏休みの一冊です。

昭和の劇―映画脚本家・笠原和夫



このブログを書いていて、本の話って、本当に尽きませんね。それがいつも不思議なのです。それだけ奥が深いということ。この夏休み、積読本の中から何冊か選んだのですが、どうなりますか。