懐かしい一冊

ブログめぐりして、懐かしい一冊を見つけました。その本は「東川端参丁目の備忘録」に掲載されていました。

書名は『お前はただの現在にすぎない テレビになにが可能か』 。著者は萩元晴彦, 村木良彦, 今野勉。かつてTBSのディレクターで、あのテレビマンユニオンを設立した方々です。

かつてメディア論について調べている時に知った一冊で、1970年代の画期的なテレビ論と評価された本でした。いま手元にあるのは田畑書店から出版されているもので、奥付を見ると、1969/3/15発行となっています。

それがなぜいま朝日文庫として文庫化されるのか。

時代が変わるとともに、メディアもテレビからインターネットへとシフトしつつあります。いまテレビになにが可能かを再度問うためか。あるいはインターネットになにが可能かを考えるためか。

すでに萩元晴彦さんが2001年4月亡くなり、村木良彦さんは今年1月に亡くなり、今野勉さんだけが現役? それぞれが独自の個性をもち、各自が新しいTVづくりをしようと結集し、初の独立系TV制作会社として脚光を浴びました。

萩元さんは『赤坂短信』(創世記)など、村木さんは『創造は組織する』(筑摩書房)など、今野さんは『テレビの嘘を見破る』(新潮社)などを出版しています。この三冊のうち、最後の今野さんの本はまだ読んでいません。

テレビマンユニオンの設立者たちが順次亡くなっていますが、その志はどんな時代にも継承されていく!と信じたい。そうでなければ、なんともやり切れません。

そしていま問いかけるとしたら、『お前はただの現在にすぎない インターネットになにが可能か』となるのでしょうか。まだ早過ぎる問いかもしれませんが。

お前はただの現在にすぎない テレビになにが可能か (朝日文庫)