朝日新聞の「秋の読書特集」
朝日新聞が「秋の読書特集」を掲載していました。その新聞を探そうとしましたが、見つからず。どうに行ったのか? 1週間ごと整理をしているので、無い訳がないと、再度探しましたが、やはり見つからず。
そこで、ネットへ。朝日新聞のasahi.comを見ると、「秋の読書特集」が掲載されていました。その特集をひと通り読みました。
この特集は池澤夏樹さん編集の『世界文学全集』の話、各編者に各々のテーマで架空の全集を組んでもらおうという企画です。詳細はasahi.comの「秋の読書特集」を参照下さい。
これを読んで、何といっても、池澤さんが編集した「世界文学全集」の内容が面白かった。世界の文学から選択した作品名と訳者名だけ見ていても、様々なことが想像でき、本を読む前のあの愉しさを味わいました。
各自の架空全集はというと、全般これはという本を見つけることができませんでした。しかし、テーマごと編者の好みがわかり、読ませる特集でした。
例えば「食」をテーマにした嵐山光三郎さんの架空全集を見ていると、○という本もありましたが、△の本もあり、それはそれで愉しく読みました。
嵐山さんが取り上げている本はほぼ持っていましたので、いつの間に集めたのかと考えてみても思い当たりません。「本は関心に集う」といいますが、おそらくそうなのでしょう。
さて池澤さんの『世界文学全集』に話を戻して、この全集は1期・2期と併せると、なんと24巻になります。2期は来年1月からの刊行となります。しかし全巻通読できるのかどうか。*1
正しい全集の読み方はありません。気に入った本から読んでいけばいいのですが、ではどれから?
■池澤夏樹編集 世界文学全集
<第1期>
- 第1巻 ケルアック「オン・ザ・ロード」青山南訳
- 第2巻 バルガスリョサ「楽園への道」田村さと子訳
- 第3巻 クンデラ「存在の耐えられない軽さ」西永良成訳
- 第4巻 デュラス「太平洋の防波堤」田中倫郎訳/「愛人ラマン」清水徹訳/サガン「悲しみよ こんにちは」朝吹登水子訳
- 第5巻 ブルガーコフ「巨匠とマルガリータ」水野忠夫訳
- 第6巻 残雪「暗夜」近藤直子訳/バオ・ニン「戦争の悲しみ」井川一久訳
- 第7巻 フォースター「ハワーズ・エンド」吉田健一訳
- 第8巻 ディネセン「アフリカの日々」横山貞子訳/チュツオーラ「やし酒飲み」土屋哲訳
- 第9巻 フォークナー「アブサロム、アブサロム!」篠田一士訳
- 第10巻 ニザン「アデン、アラビア」小野正嗣訳/ルオー「名誉の戦場」北代美和子訳
- 第11巻 クッツェー「鉄の時代」くぼたのぞみ訳
- 第12巻 モランテ「アルトゥーロの島」中山エツコ訳/ギンズブルグ「モンテ・フェルモの丘の家」須賀敦子訳
<第2期>(09年1月刊行開始予定)
- 第1巻 ウルフ「灯台へ」鴻巣友季子訳/リース「サルガッソーの広い海」小沢瑞穂訳
- 第2巻 カフカ「失踪者」池内紀訳/ヴォルフ「カッサンドラ」中込啓子訳
- 第3巻 エリアーデ「マイトレイ」住谷春也訳/キシュ「庭、灰」山崎佳代子訳
- 第4巻 マッカーシー「アメリカの鳥」中野恵津子訳
- 第5巻 アップダイク「クーデタ」池澤夏樹訳
- 第6巻 モラヴィア「軽蔑」大久保昭男訳/カルヴィーノ「見えない都市」米川良夫訳
- 第7巻 アジェンデ「精霊たちの家」木村榮一訳
- 第8巻 チャトウィン「パタゴニア」芹沢真理子訳/フエンテス「老いぼれグリンゴ」安藤哲行訳
- 第9巻 トゥルニエ「フライデーあるいは太平洋の冥界」榊原晃三訳/ル・クレジオ「黄金探索者」中地義和訳
- 第10巻 ナボコフ「賜物」沼野充義訳
- 第11巻 ピンチョン「ヴァインランド」佐藤良明訳
- 第12巻 グラス「ブリキの太鼓」池内紀訳
*1: そこで思いついたのは発売月に一冊ずつ読んでいけば、2年間で読み終えるということ。改めて言う必要もないのですが、これも一つの読み方でしょう。
最近、このように1年単位で何かするということが少なくなってきています。時間の単位は秒、分、時、日、月、年ですが、一般的には週単位の行動が基本になっています。現実の変化に対応するため、月、年単位で物事を考え行動することができません。
われわれはそれだけ慌ただしい忙しない時間を生きています。もっとゆっくりとした時間の見方・考え方が出来ないものか。この問題の解法が見つからないのが現状です。