『彼もまた神の愛でし子か〜洲之内徹の生涯』

このウェッジ文庫が読書ブログで取り上げられています。洲之内徹さんの人となりについてはこの1冊がいいようです。また月曜社から『洲之内徹文学集成』も出版されました。

仲俣暁生さんの「海難記」ではこの文庫を取り上げ、次のように言っています。

<それにしても、『気まぐれ美術館』シリーズでの洲之内徹の文章の素晴らしさには、何度読んでも舌を巻く。 60歳になってから書きはじめたこの連載は、結局72歳で亡くなるまで続き、文字通り、彼のライフワークとなった。大原富枝の言うとおり、この連載により、洲之内徹ははじめて、主題と方法が一致した書き方のスタイルをみつけたのだった。それは物書きとして、とても幸福なことだったと思う。いま若い世代に洲之内徹の読者が増えているのは、かつての植草甚一ブームの「裏」みたいな感じもあるのかもしれないが、洲之内徹ブームには、なにか契機があったのだろうか>

洲之内徹の文章を絶賛しています。いま「洲之内徹ブーム」であるらしいのですが、それがなぜかは別にしても、こういう本を文庫で読めることは喜ばしいことです。

講談社から出ていた単行本の旧刊はアマゾンで9800円の値が付いていたので手がでなかったが、この本は洲之内ファンの多くに読まれるべき名著>

であればこそ、名著を文庫化したウェッジ文庫の意欲を高く買いたい。さて次はどんな文庫を出すのか。かくれた名作の文庫化に果敢にチャレンジしている、ウェッジ文庫に注目です。


彼もまた神の愛でし子か―洲之内徹の生涯 (ウェッジ文庫 お 10-1)