「花の散り、月のかたぶく」

まずまずの天候が続いています。3月もあとわずか。早いものです。今日も晴れたので、近所の桜がここで一気に開花しました。まだ春爛漫とはいきませんが、春近しを感じさせます。

ちょっと桜のことが気になり、和歌森太郎さんの『花と日本人』を取り出して、「大和心と桜の花」を読み始めました。冒頭の一文は次の通りです。

<中国では牡丹を花の王とし、日本では桜を花の王とする>

ここから始まり、桜がなぜ日本的か、から花見の趣向についてまで、日本の歴史を辿ります。そして、最後はこう結びます。

兼好法師は『徒然草』の中で、「花の散り、月のかたぶく」ところにこそ、風情の深いおもしろさがあると言っている。蕾の咲きかかった桜とともに、そのよさを言っている。別に哀愁感からではない。生命(いのち)をさまざまと感受できるからであった>

桜が芽吹き、蕾になり、花開き、散る。そこに生命(いのち)を感じ、生命(いのち)を見、生命(いのち)のはかなさを思う。そんな時節、足を止め、桜を見るのもいいのではないでしょうか。