新聞の読書欄から
今朝の朝日新聞の読書欄は年末特集として「2007 この1年」を掲載していました。今年のベストセラーと出版界の今年を振り返り、各書評委員がお薦めの「今年の3点」を挙げていました。その中から、いくつか気になった本をメモしておきます。
まず第一に、今年の収穫としての一冊は昨日も掲載しました、原武史著『滝山コミューン一九七四』(講談社)。これは北田暁大さんと重松清さんが薦めていました。年末年始読みたい一冊です。
第二に、橋爪伸也さんの3点の中からの一冊は鶴見俊輔著『たまたま、この世界に生まれて』(編集グループ
<最初の本である『アメリカ哲学』(1950年)で示したプラグマティズムを、今日の視点から語り直す。暮らしのなかで育まれた智恵に意味を見いだす論法は、半世紀を超えてなお鋭く、さらにのびやかだ>
第三に、久田恵さんの推薦の辺見庸著『たんば色の覚書』(毎日新聞社)。久田さんは次のように書いています。
<厳しい著作である。他者の痛みへの想像力を失った私たちへの警鐘。「日常とは痛みの掩蔽の上に流れる滑らかな時間のことである」と、言い切る著者の言葉に叱咤される>
それから、鴻巣友季子さんは「ダカーポ」でも薦めていた辻原登著『円朝芝居噺 夫婦幽霊』(講談社)を再度挙げていました。<本書を読まずに年を越してはいけません>という、これは絶賛の一冊。
追記で、同紙に鴻巣さんのこれからの予定が書いてありました。
<来年は子育てエッセー『孕むことば』とワイン文学評論『カーヴの隅の本棚』の連載が単行本に。そしてヴァージニア・ウルフ『灯台へ』の新訳!>