読書の方角
毎週時間があれば、土曜日に新聞をまとめて見直しています。そのなかで、気に入った記事や資料として使える記事をチェックして、その頁をそのまま手で切り取ります。チェックが終わったあとに、それを再読することにしています。
時系列に積んでおくだけなので、どんどん積み上り、終いには下になればなるほど、その記事は読めなくなります。この方法を変えないと、ただ情報を選択しているだけで、何かを生み出すことには結びつきません。
しかし、これをここ数年やってきているので、それでも不自由なく過ごしています。時折、あの記事はと探し出すときが困るのですが、それも年に何回のこと。その時に整理を兼ねて記事探しをすることになります。これまた愉しい。
松岡正剛さんは日経新聞11月11日付の日曜版「半歩遅れの読書術」を担当しています。その新聞が手元にあるので、それを取り上げます。このコラムは何回かで、次の人に引き継がれます。ここしばらくは松岡さんが担当のようです。
その記事で、松岡さんが<読書には方角というものがある>と書いています。ある時期から「南に向く本」を読むようになったといい、次の本を例として挙げています。この本のラインナップ、まさに松岡ワールド。
- 佐々木高明『南からの日本文化』(NHK出版)
- 柳田国男『海上の道』(岩波文庫など)
- レヴィ=ストロース『悲しき熱帯』(中央公論新社)
- 中砂明徳『江南』(講談社)
- ツェーラム『狭い谷・黒い山』(みすず書房・新潮社)
- 石牟礼道子『はにかみの国』(石風社)
こうした南というキーワードで読むだけでなく、横断的な本を読むとか、一ヶ所にとどまる本を読むとか、いろいろな読書の仕方があります。読書とはこうしたさまざまな方法で本を読むことです。