新書から選書へ

時折「書店員の話」から引用させてもらっています。今回も同ブログから「新書ブームのあとは選書ブーム」について。

ちくまプリマー新書を立ち上げた出版界の必殺仕事人の松田(哲夫)氏が次に仕掛けるのは選書で新規レーベルの創刊も考えているとおしゃっていた。

という、東京国際ブックフェアトーク会の話を紹介、さらにまた新潮選書創刊40周年の冊子から、寺島実郎さんの次の話を書いていました。

 選書というものは少し引いたポジションから、どちらかというと瞬間勝負の傾向が強い単行本と、やや時代に迎合しがちな新書との間にあって、ゆっくり考えるための座標を提供するための本であるべきだ。

この話から、新書−選書−単行本の位置づけし直し、再度見直そうという意図を理解することができます。

書店員さん自身も、「新書の読者をいかに多く選書へと移行できるかによって、今後の業界の状況が好転する可能性もあるかもしれない」といいます。

しかし、選書の位置づけはいいのですが、新書客から選書客へ、どう移行するのか。選書の差別化と本の内容がきびしく問われることになります。*1

いま新書ブームで多くの新書が出版されています。新書の勢いに勝る選書を出すことができるのでしょうか。またはいったん新書が飽和期に入り、淘汰されてから、選書が注目されるのでしょうか。

いま勢いのある新書に対抗するとしたら、ブームに掉さすことになります。そのブームを覆すくらいの選書を出版できれば話は別です。そうでないならばうまくタイミングを計り、選書に移行する方策を考えた方がいいように思います。

言うは易し、行うは難し。

[ 現在の主な選書 ]

*1:選書の装幀その他はどうも半端な気がするのですが、どうでしょう。文庫−新書−選書−単行本の並びを考えると、やはり本の内容か。しかしいい内容だったら、選書を出さなくても、単行本にしたらいい。この点もどうも曖昧な気がします。あとは価格か。