野口冨士男『私のなかの東京』

週刊文春」(7月5日号)を読んでいると、坪内祐三さんが「文庫本を狙hえ!」で野口冨士男『私のなかの東京―わが文学散策』(岩波現代文庫)を取り上げていました。

この本は「東京散策の古典である永井荷風の『日和下駄』にインスパイアされた作品」であり、「歩くことで見えてくる風景、初めて把握できる町並みというものがある。だから『私のなかの東京』は超ディープな東京案内とも言える」と言います。

さらに、野口さんも永井荷風同様に歩くらしい。その一文を読んでいて、歩きながら考える、考えながら歩くって大事だ、とそんな思いが浮かび、一人納得をしていました。

そういえば、先日読んだブログ「新・読前読後」でも、同書が取り上げられていたことを思い出しました。kanetakuさんの関心は“体感的東京本”と“山口瞳本”とのこと。この“体感的東京本”の一冊として紹介されていました。

私もブログで紹介しました、坂崎重盛さんの『TOKYO老舗・古町・お忍び散歩』(朝日文庫)を読了。気ままな(これがいい)東京散歩記なのですが、なぜか散歩に出たくなるのが不思議です。

また、朝日文庫の東京本として、種村季弘さんの 『江戸東京《奇想》徘徊記』も忘れてはならない文庫です。帯には「これをしのぐ「東京本」はおそらくもう出ない」とあります。ちょっとおおげさですが、でもいい本です。