加藤秀俊『隠居学』

ちょいと、おもしろい本を見つけました。この本、加藤秀俊さん*1の『隠居学』(講談社)( 正式には『おもしろくてたまらない ヒマつぶし 隠居学』)。これは「おもしろくてたまらない」という看板に偽りなしか。

まだ「つぎはぎの世界」を読んだだけですが、これが話から話へ、自由自在に繋がっていきます。大いなるきまぐれで、ここかと思えば、あちらに、あちらと思えば、こちらにと、縦横無尽に話が展開します。

韃靼そば茶からタルタル・ステーキ、ソバ、司馬遼太郎清朝呉三桂、さらにちゃんぽん、チャンプルー、演歌へ。また、内田百輭、セレンディピィティ、レヴィー・ストロースと「知的連鎖反応」が続きます。

森羅万象、世の中はおもしろいことだらけ。これが「隠居学」の第一歩である、と知るべきなのである。

と、高らかに書いています。これはちょいと凄いぞ。こうしたご隠居っていいですね。著者も「あとがき」で書いていますが、これは中高年向けの『独学のすすめ』です。

そして、

(前略) 新知識をひけらかすのもいいけど、しつこいとイヤがられるから、まあ、ほどほどにしたほうがいい。「言わぬが花」というコトワザはこういうときにつかってもいいようである。

と、きちんと抑えている。これは軽やかで伸びやかな、掛け値なしに愉しい本です。この本に加えて、続編『続・隠居学』(講談社)も今年発行されています。週末はこの2冊を読もうと思います。

隠居学     続・隠居学

*1:加藤秀俊さんの著作のデータベースはhttp://homepage3.nifty.com/katodb/にあります。