小池昌代さんの「タタド」のこと

前に小池昌代さんのことを書きました。新しく更新した「四谷書房」のサイトでも小池さんを取り上げました。あまりに書きすぎのきらいがあり、贔屓の引き倒しにならないことを願っています。

今回は川端康成文学賞に選ばれた小池昌代さん短編集「タタド」の、この題名について書きたいと思います。それぞれの本の読み方が人によりちがいを実感したからです。

問題はこの本の題名「タタド」の意味なのです。昨日日経新聞の朝刊「読書欄」で、編集委員の浦田憲治さんが小池さんのことを取り上げ、小川国夫さんの言葉を紹介していました。

ぼくは短編を読んで色々と辞書にあたり『tattered』、つまり『ぼろぼろになった』と理解した。しかし南伊豆に多々度浜があるという人もいて謎は深まるばかり。

この謎が今日明らかになりました。それはasahi.com BOOKで、本人が次のように語っていたからです。

ユニークな題名は「伊豆半島の多々戸(たたど)浜から付けました。抽象的な場所にしようと思ってカタカナにしたんです」と語る。

これは本の題名についてですが、こうした文や本の読み込み方は、人によって確かにちがうのです。小川さんの場合、短編の「タタド」の内容から推測して、そう理解されたようですが、そのほうがなんとなく「小説的」です。