今日の一言

天野祐吉・ミハラチカ『嘘ばっかし』(福音館書店)より。

 人間は、うしろが見えない。前しか見えない、という不便な生き物じゃ。だが、そのおかげで、人間は、前へ前へと、こわいもの知らずですすむことができた。もし、人間がうしろも見える目を持っていたら、もっと用心ぶかくなって、洞穴から出ていこうとしなかったにちがいない。見えないということは、ときにはとてもいいことなのじゃ、大切なことなのじゃよ。p41

嘘ばっかし