うれぶれこそ半歩遅れの魅力

山田登世子さんが本日の日経新聞朝刊「半歩遅れの読書術」で「うらぶれの系譜」について書いています。

はじめに、

本も男も、「うらぶれ」がいいと思う。ことに男は。思い屈して、背中に哀感がにじむ。その姿はよし。功成り名遂げた男などツルピカ新刊と同じで、少しも魅力を感じない。うれぶれこそ半歩遅れの魅力の極みではないだろうか。

といいます。

その系譜は与謝野鉄幹をはじめとし、たとえばヴェルレーヌを、折口信夫を、現在においては松浦寿輝を取り上げています。

山田さんが取り上げている詩もいいので引用しておきます。

ヴェルレーヌ上田敏訳)
げにわれは/うらぶれて/ここかしこ/さだめなく/とび散らふ/落葉かな

そして最後にこう結びます。

げに男はひそかにうらぶれるべし。老いゆくその手に古びた本をたずさえて。

この文章全部を機会があったら読んで下さい。「うらぶれ」ということの新しい意味を発見し、うらぶれの系譜に連なりたいと思います。この最後の一文が、またいい。そう、老いゆくその手に古びた本をたずさえて!