読書の極意は自家用本位

開高さんのあとはというと、谷沢永一さんということになります。開高健亡き後、自らの人生は余生であると語り、今尚多くの書物を執筆しています。その多作ぶりは決して余生とは思えません。

たまたま谷沢さんの文庫を古本で買い、家に帰り、谷沢さんの本と照合しました。ダブっていませんでした。なぜ照合するかというと、最近はダブリ本が増えてきています。その数、減るというより、増えるばかり。

ダブった時は記憶って、当てにならないものだと痛感します。それもそうです。多くの本の中から、同じものを完璧にチェックすること、それ自体ムリなことです。ダブリ、これは仕方のないことかもしれません。

その谷沢さんの文庫は『読書の悦楽』(PHP文庫)です。この文庫は大きく3つに分けられます。①雑読学序説は雑読の心得、②蒐書学序説は本の蒐集のための方法、③読まねばソンする二五冊はオススメの25冊、という構成になっています。

③読まねばソンする二五冊を参考までに列挙します。

読書の極意は自家用本位、格好は豪華絢爛ではなくたって、一寸でも自分に役立ちさえすれば、それこそまさに天下の名著。p.145