ヘンリー・ミラーの読書論より

紀田順一郎さんの『現代人の読書‐本のある生活』(三一新書)を購入しました。この本、1964年6月に初版1刷、今手元にあるのが1976年1月の4刷です。だいぶ前の本ですが、必読書リストも付いていて、読書についての充実した内容になっています。

その中から、「良書の選択」と「古典とその読書」についてのいい言葉がありましたので、メモしておきます。
特に、紀田さんの引用で、ヘンリー・ミラーの『わが読書』から。

生きて出てきた書物とは、貪欲にすべてを喰いつくさねばやまぬ精神によって、何べんも何べんも刺し貫き刺し貫きされた書物のことだ。ある書物がそれに生命を与えている精神のように、炎々と燃えさかる精神の炎に火が点ぜられるまでは、いまだその書物は我々にとって死物にすぎない。

"良書リスト"といえば必ず古典が選ばれることでもわかるように、古典こそは知識だか教養だかの基本である、あるいは何でもよい、とにかく基本である、とは多くの者が説いているが、ぼくはこれを悲しむべき誤りだと信ずる。基本は自分流で築け、というのがぼくの持論だ。人がいやしくも一つの個人だというなら、それは彼の独自性のゆえにそうなのだ。人は現代に出版されたものをまず読むべきだ。自分がそこに生き、参加している世界について知ること、これが何より肝心ではないか。読書は、めしをくったり運動したりすることと同じだと思うがよい。

訳が一部わかりにくいかもしれませんが ・・・・・。

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