エリック・ホッファー『魂の錬金術』

先日図書館から借りてきたエリック・ホッファー『魂の錬金術』(作品社)を読了しました。副題 全アフォリズム集。ホッファーの生きた哲学は次のようなものです。

 わたしは専門的な哲学者ではない。抽象的なことは扱わないからだ。一枚の葉や一本の枝が幹から育つように、わたしの思想は、生活のなかから育ったものなのだ。p212

この本を通読して数多くの付箋が林立してしまいました。それは気の利いたアフォリズムの数と比例しています。それらをすべて列挙するわけにもいきません。そこで、そのなかからいいアフォリズムを掲載します。

 真の創造者は、それ自体で生命をもつもの、彼がいなくても存在し機能しうるものを作り出す。これは著述家や芸術家、科学者だけでなく、他の分野の創造者についても例外ではない。コメニウス(チェコの思想家)の言葉を借りれば、創造的な教師とは「より少なく教え、より多く学ばせる」者のことであり、創造的組織者は、彼なしでもうまく機能する組織をを作り上げる。真の指導者が力を発揮するとき、支持者たちは「自分たちの力でそれをやった」と言い、偉大な指導者がいなくても偉大なことができると感じる。創造力のない者たちにかかると、逆のことが起こる。彼らが手配することすべてについて、彼ら自身の存在が不可欠となる。p163