ジル・ドゥルーズの言葉「分人」

「WIRED」2017.10.12 THU 10:00
哲学者・ドゥルーズかく語りき
玉川大学教授・岡本裕一朗

<一人ひとりの個人がひとつの職業や会社と強く結びついていた時代が終わりを迎えつつある状況と符号するように、「複数化する自分」という意味での「分人」という言葉がいまにわかに注目を浴びている。小説家の平野啓一郎が、2012年に発表した著書『私とは何か──「個人」から「分人」へ』のなかで語ったのは、『個人』というひとつの統一された生き方が成立しがたい現代で、「他者との関係のなかで生まれる複数の自分」をポジティヴに肯定するという姿勢だった。インディヴィジュアル(個人)からデュヴィヴィアル(分人)へ。この「分人」という言葉もまたドゥルーズが生み出したものだった>。