鶴見俊輔『思い出袋』(岩波新書)

ちょうどいま鶴見俊輔さんの『思い出袋』を読了しました。すでに一度読んでいたのですが、再読すると、改めて気づかなかったことに気づかされます。また再読して、いままで貼ってないところに、付箋を貼ったりもします。

これは今回付箋を貼った箇所で、いままでは通り過ぎていました。そんななから、次の箇所を引用します。タイトルは「犀のように歩め」。<明治以前だから、こういう人がめだつ。明治に入って国家が西洋文明を学校制度を通して日本中にひろげてから、思想をかえって平たくなった。この環境では犀を見つけることはさらにむずかしい。編集者は犀を見つけることが仕事のはずだが、実際にはその仕事の内実は、うわさの運搬である。その中で、目利きとして私の記憶に残る例外的編集者は、戦中・戦後の林達夫花田清輝谷川雁である>。P57-58

鶴見さん指摘の「例外的編集者」が気になりました。犀を見つけるために、こうした編集者が必要です。編集者の確かな眼があればこそ、「思想のドラマトゥルギー」が生まれます。

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)