原研哉『日本のデザイン』(岩波新書)より

先日買った本、原研哉さんの『日本のデザイン』より、デザインの本質を学びました。基底にあるのは何と言っても生活の思想です。

<デザインとはスタイリングではない。ものの形を計画的・意識的に作る行為は確かにデザインだが、それだけではない。デザインとは生み出すだけの思想ではなく、ものを介して暮らしや環境の本質を考える生活の思想である。したがって、作ると同様に、気付くということのなかにもデザインの本意がある>。P43−44

< ・・・ 問題の本質はいかに魅力的なものを生み出すかではなく、それらを魅力的に味わう暮らしをいかに再興できるかである。陶器が売れないのは陶器の人気が失われたためではない。今日でも素晴らしい陶器を見れば人々は感動する。しかし、その味わい楽しむ暮らしの余白がどんどん失われているのである>。P105

大事なのは「暮らしの余白」。この余白を増やすためにはどうすればいいのか。これを考える必要があります。余白が増せば、ゆとりが生まれます。ゆとりが新しいデザインを、暮らしを生み出します。

<可能性は常に意外性の中にある>。P107

<工業生産で少しやつれてしまった国土を心安まる安寧の風土として再生させていくためには、まずは掃除をしなくてはならない。すでに何度も述べているように、日本人の感受性はもとより繊細、丁寧、緻密、簡潔なのである。これを自覚していくことで、経済文化の次のステップへと僕らは進んでいけるような気がするのだ>。P149

<僕の仕事は、「もの」をつくるというより「こと」を作ることであると普段から言い募っている。だからこういう仕事こそ本領である。デザインとは、ものの本質を見極めいく技術だが、それが産業のヴィジョンに振り向けられたときには、潜在する産業の可能性を可視化できなくてはならない>。P171

<世界から評価されるのではなく、世界で機能する主体性を持つ>。P181


日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)         デザインのデザイン