本は読みたい人を待っている

2013年の日本人の平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳で、いずれも過去最高を更新し、男性が初めて80歳を超えました。「人生80年」という言葉はこの平均寿命からきたものですが、日本はまさに世界有数の長寿国となりました。

昨日、文化人類学者の西江雅之さんが77歳で亡くなりました。ほぼ平均寿命の年齢です。これからは少子高齢化が進むばかりです。いつ、どこで、だれが、どうなるかわかりません。いのちある限りは天寿をまっとうしたいと思います。

しかし、毎年ひとり、またひとりと、かって読んだ本の著者が亡くなることはさびしいものです。また、作品が読まれなくなることはつらいものです。だからこそ、かつて読んだ本は忘れず読み続けたい、そして読み継いでほしいと思います。

では、今書棚にある本をあと何冊読むことができるのでしょう。溜息をついてしまいます。再読、三読した本、そう多くはありません。それでも何かにつけて、読んだ本は心の支えになっています。

あの頃は一体何を考え、何をめざし、何をしようとしたのでしょう。いろいろな出来事がありました。あれから遠くまできたものです。その道行きのなかで、本はいつもじっと読みたい人を待っていてくれます。