佐久間裕美子『ヒップな生活革命』(朝日出版社)

ヒップスターたちを中心に小さな渦として始まった、自分のなるべく近くで商品を作ろう、自分の近くで作られるモノを買おうというムーブメントは、いま確実に文化の主流に近いところで大きな波を形成しています。ごく小さな存在である新進デザイナーたちと国内製造業を結びつける「メーカーズ・ロウ」に、投資家たちが可能性を感じて熱い視線を送っていることもそれを裏付けています。P142

Hip(ヒップ)または hep(ヘップ)は、英語の俗語のひとつ。形容詞的に、「今の流行」またはある特定のトレンドや事柄に精通している人、熱中している人を指して使う。 "Hip" は "cool" と同様に、ある特定の感性を指すものではなく、何が "hip" であるかは時代と共に変化する。- Wikipedia

 そして今はまさに個人の表現の時代です。日本でも人気のある「インスタグラム」からスター写真家が生まれ、「サウンドクラウド」からヒット曲が生まれ、誰もが音楽を作り、デザイナーであり映像作家で、ブロガーです。雑誌であろうと映画であろうと、作りたいという気持ちがあれば、それを作るためのツールは揃っています。「何もできない」とただ無力感に打ちひしがれる必要はないのです。
 ツールが揃ったからといって、誰もが自分の表現を金銭に変えられると言うことではありません。けれども作品を通じた戦いのフィールドがよりフラットになり、消費者の嗜好がより細分化していくとすれば、自分が相手をすべき人々を発見し、彼らとつながり合うことで自分の居場所を確保することのハードルは、これまでより低くなっていくのです。P172