クラフト・エヴィング商會『星を賣る店』から(1)

なんと言っても、飽きませんね。読み終えても、なおパラパラと、また見返す。その繰り返し。切りがありませんね。この本は。やはり手元においてよかった。いつもそう思うのです。しばらくするとまた手に取っているでしょう。この本はクラフト・エヴィング商會『星を賣る店』(平凡社)です。

その本のなかに、先日亡くなった、赤瀬川原平さんの注文の応じて仕入れたという「とりあえずビール」がありました。商品番号|8008番 この作品を見ていると、いつの間にか魅入られ、このビールを飲んでみたくなりました。さて、どこで売っているのでしょう。(赤瀬川さんのエッセイ「とりあえずビールでいいのか」は商品番号|0482番『ないもの、あります』筑摩書房に掲載されています)。

世田谷文学館で現物を見ておいて良かったと思います。これはなに、あれはなに、といろいろ見てしまいました。見ているだけで心も体も、そして想像力も開放されます。これまた、なぜ。とりわけ、クラフト・エヴィング商會の商品には洗練という言葉がふさわしいと思いました。

このお店の商品はどこから見ても構いませんが、手に取ることはできません。取れないからこそ、見たくなるのでしょうか。そしてまたという思いにしてくれます。しかし、本当は何を創り、何を売っているのか? 品ぞろえを見ると、星まで売っています。ならば、虹も売っているのでしょうか。


星を賣る店         ないもの、あります