小沼丹『珈琲挽き』(講談社文芸文庫)

「記憶の断片」より

< 普段は自分の周囲のことしか見ていないし、また考えてもいないから、旅行に出ると忘れていたもう一つの眼が戻って来る気がする。どこに行っても人が住んでいて、ちゃんと生活がある。そんなことは最初から判っているが、旅に出ると改めて気附く。街で旅行者らしい外国人を見掛けると、連中も同じようなことを考えているのかしらん?何だか訊いてみたい気がする>。P293

珈琲挽き (講談社文芸文庫)         小さな手袋 (講談社文芸文庫)



旅に出ると気付くのは<どこに行っても人が住んでいて、ちゃんと生活がある>ということ。いつも各地で出会うのはそこでの生活と生活している人たちでした。