『井上ひさしの読書眼鏡』についての追記

やはり、この本『井上ひさしの読書眼鏡』(中央公論新社)から次の箇所をぜひ引用したいと思いました。

<・・・・・高速増殖炉が実用化すれば、「打出の小槌」のようにプルトニウムがどんどん増えて、未来のエネルギーは保証されるか・・・・・高速増殖炉にウランを入れて、プルトニウムを増殖させるというのは、ちょうど銀行にお金を預けて、利息<=プルトニウム’>を増やすようなもの・・・・・(そして)増殖計画というのは、ちょうど利息で生活しようというようなものですが、・・・・・利息を引き出して使うには、再利用という厄介な手続きが必要です。増殖炉にたまったプルトニウムは、そのままでまた燃え続けるというわけではなく、毎年取り出しては、化学処理を施してやらなくてはならないからです。また、燃料の燃えた後の「死の灰」の後始末も大変なことです。「打出の小槌」などというと、無から有を生じるようで、誰でも飛びつきたくなる話ですが、自然の法則には無から有を生じるようなことはありません。自然からあまりよくばりにものをとりだそうとすると、手痛いしっぺ返しを受ける・・・・・>

<高度な理論を平易に砕いてくれた高木さんの親切なコトバは、いま、わたしの心の中でダイヤモンドのように硬くなり、そして希望の光を放っています>。(共にP43-44)

これを読んでじっと考えてしまいました。そして高木さんの本を読みたくなりました。この井上さんの引用は高木仁三郎さんの『プルートーンの火』(高木仁三郎著作集第4巻、七つ森書館)からです。

プルートーンの火 (高木仁三郎著作集)