陶山幾朗 『「現代思潮社」という閃光』現代思潮新社
新刊の紹介が各書店のHPで行われていました。今月の新刊で気になったのは次の1冊。丸善とジュンク堂書店のHPで見つけました。
- 陶山幾朗 『「現代思潮社」という閃光』現代思潮新社
まず現代思潮社という出版社名が懐かしい。いまなお健在。なによりという思いとともに、いまの出版活動はどうなのかが気になります。わたしにとって学生時代の思い出の出版社の1社です。
この本の筆者はというと、内村剛介さんの本の編集者の陶山幾朗 さんです。内村さんも懐かしい評論家。その編集者という記憶なのですが・・・・・。陶山さんと現代思潮社の関わりはどうだったのでしょう。
<たしかに現代思潮社という名の風が吹いていたような気がする。そして、この風は、同時代の希求する空気を吸い込み、これを出版という形態に変換して時代の方へ送り返す、ふいごのような役割を果たしていたと思う。……ここに現出せる観念の小宇宙とは、もちろん石井社長が希求し、そして粟津則雄、栗田勇、澁澤龍、白井健三郎、出口裕弘、森本和夫といった当時のブレーンらの協力を得て紡ぎだされた空間に違いなかったが、ともかく文学から政治、芸術から歴史にいたる分野において物議を醸すべく一石を投じたいという意欲が先行し、充満している>。(本書より)
いろんな時代がありました。その時代時代に、さまざまな風が吹いている。それがフォローなのか、アゲンストなのか。現代思潮社は時代の風に抗い、道なき道を歩んできました。
あの時代は何だったのか。現代思潮社はあの道の先に、新しい何かを見つけたのでしょうか。そしてひとつの時代を経て、何を残したのでしょう。いまふと <不可能性への希求!> という言葉を思い出しました。