平松洋子『忙しい日でも、おなかは空く』

先日図書館に行き、棚を見ていると、平松洋子さんの『忙しい日でも、おなかは空く』(日本経済新聞社)を見つけました。パラパラとページをめくると、なんとも紹介されている食べ物が美味しそうなので借りてきました。

平松さんのエッセイには定評があり、以前から読んでいました。この本は初めて読む一冊。料理や暮しについてわかりやすく書いています。その端正な語り口で、薄すぎず濃すぎず、程よい味がいいのでしょうか。

冒頭の「塩トマト」( 単純ですが美味しい!)で、即カウンターを食らった感じ。料理の写真も食欲をそそります。これから始まる大人の食の話、期待しながら、読み進めたいと思います。

忙しい日でも、おなかは空く。 (文春文庫)      焼き餃子と名画座: わたしの東京 味歩き (新潮文庫)       本の花



<ふつうがおいしければ、それでじゅうぶんだ。なんの力みも入っていなくて、「ここ一番!」の特別感なんか全然なくて、でもおなかの底から「ああ、おいしかった楽しかった」。そう思えればいうことなし>。p76
<好きな道具なら、だれがなんといおうといつまでも大事に使い続けたい。こだわるというのではない。もっと自然に、そばにいるのがあたりまえのように使いたい。きっとそのうち、道具の持ち味が日々の暮らしに溶けこんでゆく。
そうしたら、しめたもの。もう手放せない。>p129-130
読み終えて思うこと。いい書評を読むと本が読みたくなります。いい食の本を読むと、食べたくなります。そうでなければ、いい本とはいえません。改めて平松さんの本を見ると、付箋が林立しています。
※『忙しい日でも、おなかは空く。』は単行本ではなく、文春文庫を掲載。平松さんの最新刊は『本の花』(本の雑誌社)です。