流行語も、コピーも、時代のエッセンス
12月2日に今年の「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞が決まりました。今年の新語・流行語は「今でしょ!」「じぇじぇじぇ」「倍返し」「お・も・て・な・し」の史上最多の4語でした。またNHK連続テレビ小説「あまちゃん」とTBS系「半沢直樹」から2語選ばれ、ドラマのセリフでは19年ぶりの快挙となりました。
今年の「ユーキャン新語・流行語大賞」ですが、毎年それほど気にしていなかったのですが、今年はなぜかすべて知っている?というまさに「怪挙」。我ながら驚くばかりです。ということは、今年の新語・流行語にそれだけ強烈なインパクトがあった証しです。
今日読んでいた鷲田清一さんの本『パラレルな知性』(晶文社) の「KYを読む?」に、こんな箇所がありました。
< すぐれたコマーシャルのコピーというのも、じつはおなじような結晶作用を、こんどは概念によってではなく、フィーリングというかたちで感覚的に引き起こさせる。皮膚感覚を全開して、時代の、現象としては微細だがドラスティックな変化をキャッチしたコピーは、たった一言で時代のエッセンスを言い当てる>。p151
この「コピー」を「流行語」に置き換えても同じことが言えます。ことばは結晶作用を通して、「たった一言」で時代の本質を表現しています。この四つのことば・・・「今でしょ!」「じぇじぇじぇ」「倍返し」「お・も・て・な・し」・・・から何を連想し、何を思うのでしょう。
街ではクリスマスソングが流れ、イルミネーションが点灯し始めています。12月、まさに師走。私たちも自然と足早に歩いています。そしてしだいに時間の経つのが速いと感じ、年末年始を迎えることになります。
神経科学者David Eagleman氏は米誌『The New Yorker』で次のように書いています。
<ヒトの脳は新しい情報を受け取ると、まず、情報を理解しやすい形に整理しなおします。すでになじみのある情報を処理するときは、それほど時間がかからない一方、新しい情報の処理はこれよりも遅くなり、これによって時が長く感じられます。つまり、歳を重ねて新しい情報が少なくなると、時の経つのが速く感じるようになるというわけです。
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時が速く過ぎるのは、歳のせいではなく、なじみのある情報が増えるから。つまり、時の流れをもっとゆっくり感じたいなら、新しい情報により多く触れると良さそうです>。