今日の引用

都市とはたとえば、二つとか五つとかの階級や地域を構成する沈黙の建造物ではない。都市とは、一人ひとりの「尽きなく存在し」ようとする人間たちの、無数のひしめき合う個別性、行為や関係の還元不可能な絶対性の、密集したある連関の総体性である。
見田宗介『まなざしの地獄』

そう、ここは戦場でもなければ、刑場でもない。
(・・・・・) ぼくに出来ることと言えば、
せいぜい、報告書を書きつづけるくらいのことだろう
(・・・・・) それも、ただ、説明出来ないことを説明するだけの、
無意味な事実のまわりを遠まきにしてまわりながら
安部公房『燃えつきた地図』

まなざしの地獄        燃えつきた地図 (新潮文庫)