批評の要諦とは
内田樹さんの『映画の構造分析』(文春文庫)は、<みんなが見ている映画を分析することを通じて、ラカンやフーコーやバルトの難解な術語を分かりやすく説明すること>を目的とし、各映画の分析・批評を行っています。
では、分析・批評をする上で、肝心な点は? 内田さんは次のように書いています。
<映画に限らず、あらゆる批評の要諦は、「批評を読み終わったあとに、猛然と実物が見たくなる(読みたく)なる」と言うことだとぼくは信じています。この本を読んだみなさんが本書の中に言及されている「まだ見ていない映画」が見たくてたまらなくなり、TSUTAYAに走り、amazonでの「大人買い」衝動に駆られるといった事態になることを心より祈念しております> p243
こういう結果になることがいい批評の証。これはもちろん書評においても言えることです。(左:文庫 右:単行本)