これからの高齢化社会の傾向と対策

これからの高齢化社会の傾向と対策が書かれています。充実した内容ですので、全文引用します。私たちは最後の自問に対してどう答えたらいいのでしょう。

山陰中央新報  2013-02-20 「明窓

 京都大学の医学部長や総長を務めた平沢興さんは、かつてこんなことを言っていた。「50、60は花盛り、70、80で実がなって、90、100歳は熟れ盛り」。もう25年以上前のことになるが、今となっては誇張でも何でもない

▼日本では100歳のお年寄りは決して珍しくなくなった。それどころか世界人口は急速に高齢化に向かっている。国連人口基金の最新報告では2050年までに60歳以上人口が20億人を超え、約5人に1人に当たる22%に達するという

トップランナーは言うまでもなく日本。スピードがまたすごい。高齢化率が7%から14%になるのにかかった年数はフランス126年、スウェーデン85年、イタリア61年、ドイツ40年。日本はわずか24年にすぎない

▼今後も高齢化のスピードは衰えず50年には36%になると予測されている。シニア層が消費の主役となるのは、もはや時間の問題。しかも旅行など余暇活動や衣料品で年間6兆円の需要が眠るといわれる宝の山だ

▼企業が変化を見逃すはずはない。シニア層をターゲットに動きだした。大手外食産業は退職後のシニア向け居酒屋を展開。シニアになじみのある昭和を連想させる内装を施し、シニア層の郷愁を誘う

▼生物学者の本川達雄さんによると動物は心臓が15億回打てば皆死を迎える。ヒトのサイズでは寿命はせいぜい40歳。それでも80歳前後まで生きる。医学の進歩によって寿命は強引に引き延ばされた。だがヒトはそれに見合った生き方を獲得しただろうか、自問してみる。(三)