サマセット・モームを読む

オベリスク日録」で、サマセット・モームの『昔も今も』(ちくま文庫)を紹介しています。私も丁度『要約すると』(新潮文庫) を読み始めたばかり。そのきっかけが村松友視さんの『アジア幻想 モームを旅する』(講談社)でした。

『昔も今も』は「訳者解説によれば、批評家エドマンド・ウィルソンは本書を酷評した」と言いますが、あの開高健さんは絶賛しています。そこで、オベリスクさんも読む気になったようです。

実際に読んでみて、どうか。「まさしく大人のための「お話」。面白い小説を読みたい向きは、是非どうぞ。」といいます。では私も読んでみたいという思いになります。じゃ、この文庫が終わったら、『作家の手帳』も、と思いが弾みます。

また、新潮文庫の『要約すると』が岩波文庫では『サミングアップ』になっていました。前者の中村能三さんと後者の行方昭夫さん。では訳者はどうなのだろう。そんな思いも広がります。*1

ひょんな言葉、ドキッとする文章、目からウロコの内容によって、いままで見ることも、読むことも、考えることもできなかった世界が現前します。だから、不思議です。見ること、読むこと、考えること。

サミング・アップ (岩波文庫)        昔も今も (ちくま文庫)



Wikipedia より抜粋】
■ 中村能三
日本の職業翻訳家の草分けであった大久保康雄の下訳者(中村は大久保より2歳年上)になり、修業期間を経て職業翻訳家として独立。クローニンなどの訳やジュニア小説から、アガサ・クリスティなど推理小説を多数翻訳した。戦前から大久保の下訳者をつとめた経験から、大久保の影武者と自他ともに認めていたという(宮田昇『戦後翻訳風雲録』)。

戦後「翻訳」風雲録―翻訳者が神々だった時代        新編 戦後翻訳風雲録 (大人の本棚)


■ 行方昭夫
本来、ヘンリー・ジェイムズを専門とするアメリカ文学者だが、英文読解の教師としても多くの著作を出し、英文学、英語学の専門誌である英語青年において英文解釈練習のコーナーを長年隔月で担当していた。岩波書店の同時代ライブラリー・オリジナル版として出た『英文快読術』は、同シリーズで最も売れたという。『イシ』や、ジェイムズ、サマセット・モームなど、正確な翻訳を次々と生み出している。朱牟田夏雄、上田勤、日高八郎に師事。

*1:下の『サミング・アップ』をクリックし、カスタマーレビューを読むと、そのなかに両者の訳文の比較があります。ご覧下さい。参考まで。