ただの現在から新しいリアルへ
『お前はただの現在にすぎない』(田畑書店)という本を知っていますか。著者は萩元晴彦 、村木良彦 、今野勉の3名です。この本は2008年10月に朝日新聞出版より、朝日文庫として出版されました。今読むとすると、こちらの文庫になります。
この本の内容はと言うと、
1960年代後半、番組内容や報道の取材方法を巡って「TBS闘争」が起こった。本書は、闘争のさなかで三人のテレビマンが「テレビになにが可能か」を繰り返し自らに、会社に、社会に問い続けた記録である。テレビの本質をもっとも深く問うた本として、復刊が待ち望まれてきた名著。(「BOOK」データベースより)
だといいます。
内容説明には「名著」と書いてありますが、当時は「名著」というより衝撃的な本でした。さらに驚いたのはこの3人がテレビマンユニオンを設立したことです。テレビ業界のなかで、「テレビになにが可能か」を旗印に、プロ集団をつくろうとしました。この発想が凄かった!と同時にいい作品を創りました。
萩元さんはすでに亡くなりましたが、村木さんが今回『映像に見る地方の時代』*1を出版しました。今野さんは2009年に『テレビの青春』を出版しています。
朝日新聞9/2の『映像に見る地方の時代』の書評を読むと、この本を「テレビ局のドキュメンタリー番組を論評したエッセイ集」と紹介、そのあとに「遺稿集ともなった」と書いてありました。村木さんも亡くなった!テレビマンユニオンの第一グループはもう今野さんだけになってしまいました。
翻って、いまのテレビ業界を見ると、どうでしょう。テレビの可能性を追求しているのかどうか。インターネットの時代に、テレビをどういう方向をめざすのか。いまのような番組編成、番組制作でいいのか等。様々な問題が山積しています。
この3人のテレビマンの本にはこれらの問題を解くヒントが隠されていると思うのですが・・・・・。