佐野眞一さんへのインタビューより
6/30付 朝日新聞の「be」のフロントランナーで、ノンフィクション作家の佐野眞一さんを取り上げていました。
内容は佐野さんのノンフィクションの現状、「東電OL殺人事件」、これからのノンフィクション等についてのインタビューです。
そこで佐野さんはノンフィクション作家が心がけるべきことは何かという質問に対して、次のように答えています。
僕が尊敬する作家の広津和郎(1891〜1968)は、作品はどれも無味乾燥なんだけれど、「散文精神について」という有名な講演をしています。どこまでも忍耐強く、執念深く、ただただ淡々と物事を見るべきだというのがその主旨で、これこそ僕らが忘れてはならない心得だと思う。
この散文精神で書かれる作品は、「動詞と名詞だけで書かれる文芸」とも言いかえられる。形容詞や副詞はほとんど必要ない。動詞と名詞は、時代が変わっても、けっして腐らないからなんです。
この指摘はノンフィクションの本質を言い当てている気がします。
また、1990年代から「ノンフィクション冬の時代」だそうですが、これからのノンフィクションについても次のように書いています。
ノンフィクションは根底において、僕らがいま、どんな時代に生きているのかを伝える文芸です。(中略) いまの世の中は、ノンフィクションに書かれるべき対象が山ほど転がっている豊穣の時代だと思うんですよ。
ダイナミックに時代をわしづかみする気構えさえ身につけていれば、活路はまだあるはずです。
とはいえ、ノンフィクション春の時代はいつ訪れるのでしょうか。