松岡正剛さんの「書店のこれから」

6/21のブログ「本屋さんは逆襲できるか」で、文脈棚を取り上げましたが、6/22松岡正剛さんがブック・アサヒ・コムのインタビューで「書店のこれから」について語っています。

ネット書店に対抗しようと、街の本屋さんは頭をひねっている。答えのひとつが「文脈棚」。本を著者別や分野別でなく「意味」でつなげて棚に並べる。この手法で実績をあげているのが東京駅そばの丸善丸の内本店4階にある「松丸本舗」。

そのお店を監修しているのが松岡正剛さん。「多くの書店はベストセラーを大量に並べ、読者もランキングの上位から買う。本だけの現象ではなく、日本の知の遊びが平均化した一つのものに向かっている。大きな問題が背景にあると思う」といいます。

その「大きな問題」に対しての解決策として、また書店の活性化策として、「松丸本舗」の「文脈棚」・・・ それは「編集棚」と言えるかもしれません ・・・ を提案し、こう言います。*1

 松丸本舗の棚は、思い切って迷宮のようにしようとねらった。本の目次で1冊のアウトラインが見えるように、松丸の本棚は、本の並びが、めくるめく読書の世界のガイドラインになっている。並び替えれば、本はどんな風にも変化する。1冊の本を読むことも大事だけれど、隣りあう3冊を並べて見てほしい。

本の文脈は、人によって、作家や書店員によってある。彼らの作り上げる本棚は読書以上に参考になるかもしれない。本棚を見ることは読書の入り口・・・(中略)・・・気分によって、季節によって、自由に本を選び、読書につなげたら、本はおもしろくなる。きっと本屋に行くことも楽しくなると思う。

とまとめています。

松岡さんの言うように、これからの書店はもっと楽しい場所に編集し直さなければならないと思います。その1つの方法として、「文脈棚」(「編集棚」)あるという気がしています。

しかし、その新しい意味のつながり=文脈の創り上げるのにも、方法の習得と熟練を要します。例えば、一冊の本につながる3冊の本を考える。これを練習問題としてやると、つながりの発想力が身につきます。

知の編集工学―情報は、ひとりでいられない。      遊学〈1〉 (中公文庫)      松岡正剛の書棚―松丸本舗の挑戦


*1:編集とは「該当する対象の情報の構造を読みとき、それを新たな意匠で再生するものだ」。『知の編集工学』(朝日文庫) p19