いま『方丈記』を読むならば

6/10、朝日新聞の日曜版 読書欄の「本の舞台裏」に次にように書いてありました。

大火に竜巻、飢饉に大地震・・・・・平安末期の天変地異を、鴨長明が『方丈記』に記して800年。東日本大震災の記憶も生々しい今年は、災害文学として読み直ししたりした現代語訳が相次ぐ。

その『方丈記』が自由訳であったり、新訳であったり、超訳であったり、さまざまな訳で出版されているといいます。どれをどう読んでもいいのですが、記者は「日本語の古典でも屈指の名文で読むには、昨年11月に出た浅見和彦校訂・訳『方丈記』(ちくま学芸文庫)が重宝だろう」と言います。

私は加えてもう一冊紹介したいと思います。それは堀田善衛さんの『方丈記私記』(新潮文庫/ちくま文庫)です。この本は堀田さんが鴨長明方丈記』を読み解きながら、堀田さんの戦争と鴨長明の乱世を比較して書いています。

堀田さんは「現実を徹底的に生きた者が刻み込んだ記録の勁さ(つよさ)を、方丈記の中に見ているのだ。そのような勁さを、氏は自分の書くものにも期待し、従って現代を徹底的に生きることを念願してもいる」(山本健吉)のです。

この本は、鴨長明方丈記』について書いてあるだけでなく、堀田さんの戦争体験から、現代を徹底的に生きること!も教えてくれます。

方丈記 (ちくま学芸文庫)         方丈記私記 (ちくま文庫)