アイリーン・美緒子・スミスさん 水俣・フクシマを語る

写真家ユージン・スミス、懐かしい名前です。RT: @honeyhoney13: かつて水俣を、今福島を追う (略) アイリーン・美緒子・スミスさん(ユージン・スミス夫人)のインタビュー記事。もとの記事の方が圧倒的に含みがあり深い。箇条書きですまさずこっちを読んでhttp://t.co/sJfWsds5

藤本由香里さんのツイートにリツイートしました。かつて水俣を、今福島を追うアイリーン・美緒子・スミスさんはあの写真家ユージン・スミスさんの奥様。今回毎日新聞のインタビューに応えて、水俣とフクシマを比較対照しながら、共通する10の手口等について語っています。

藤本さんは、自身のツイートのなかで、この記事についてかなりRTされているので、実際の記事を読んでほしいと言っています。私もリツイートで懐かしいと書いてしまいました。それがあまりに失礼なことか。でもそのとき、それが実感でした。

まだ水俣病もすべて解決されたわけではないのですが、いつの間にか、時間の堆積の中に埋もれ、いつの間にか、忘れてしまいます。しかし、人には忘れていい過去とそうでない過去があります。水俣の問題、フクシマの問題は絶対に後者です。

いまなお思い出すのは、ユージン・スミスさんの『写真集 水俣』『水俣―写真集 (1982年)』です。これが水俣病が何であったかを提示してくれました。まさに百聞は一見に如かず。いまでもその衝撃は忘れられません。それを見れば、人間が人間に対して何をしたのか、一目瞭然です。

ユージン・スミス―楽園へのあゆみ



それを一緒に制作したユージン・スミス夫人が水俣からフクシマを追い、「水俣と福島に共通する10の手口」を箇条書きで紹介しています。

1、誰も責任を取らない/縦割り組織を利用する
2、被害者や世論を混乱させ、「賛否両論」に持ち込む
3、被害者同士を対立させる
4、データを取らない/証拠を残さない
5、ひたすら時間稼ぎをする
6、被害を過小評価するような調査をする
7、被害者を疲弊させ、あきらめさせる
8、認定制度を作り、被害者数を絞り込む
9、海外に情報を発信しない
10、御用学者を呼び、国際会議を開く

いかに共通する点が多いことか。そこで浮き彫りになってくるのは、水俣は人災であり、フクシマは天災でもあり、人災でもあります。そして人災への対処としては水俣と変わらず旧態依然のままであるということです。歴史は繰り返す。初めは悲劇として、2回目は喜劇として、と言っていられない状況です。

水俣同様、禍根は何十年と続くわけです。そして日本のフクシマも、アメリカのスマイリー島、ソ連チェルノブイリ同様、世界史に刻みつけられました。日本は何度同じ事を繰り返せばいいのでしょう。 アイリーン・美緒子・スミスさんはこの口惜しさからインタビューに応えたと思います。

苦海浄土―わが水俣病 (講談社文庫)          苦海浄土〈第2部〉神々の村