吉本隆明さんの「on reading」

今日の朝日新聞の読書欄では、吉本隆明さんが「on reading」(本を開けば)を書いてます。

吉本さんは今年86歳。写真を見る限り、まだまだ健在です。その名前に付加されているのが「思想家」です。なにか仰々しい感じますが、一般的な「詩人・評論家」でもいいような気がしました。

その記事では、副題にもあるように、本の世界は古本屋で学んだと言っています。そして、読んだ本はというと、次の2冊を挙げていました。

  • 木々高太郎 『網膜脈視症』
  • ファーブル 『昆虫記』

その記事の下にあるコラム「扉」では担当の記者 浜田奈美さんがこう書いています。

<何か問題にぶつかったとき、私自身が「あの人ならどう考えるだろう」と思う著名人に吉本隆明さんがいます。>

そういう人は多いのではないでしょうか。私もそのひとりです。

浜田さんはこの年齢になっても、「今も様々なことを考えている」という吉本さんに、夏目漱石芥川龍之介に寄せた言葉を最後に記しています。なかなかいい言葉です。

<「牛になる事はどうしても必要です。われわれはとかく馬になりたがるが、牛にはなかなかなり切れないです。」>

泰然自若。吉本隆明さんは厳然たる牛であり続けました。健康であることを願わずにはおれません。何卒、ご自愛の程。

日本探偵小説全集 (7) 木々高太郎集(創元推理文庫 (400‐7))        完訳 ファーブル昆虫記 第1巻 上