荒川洋治さんの「付箋の色」

読書の仕方は人それぞれです。まず何もぜず本を読み通す人。鉛筆を持って傍線や下線を引きながら本を読む人。一時流行った三色ボールペンを使いながら本を読む人。最近は付箋を利用して本を読む人も増えてきました。

先日読んだ荒川洋治さんの『読むので思う』(幻戯書房)の「付箋の色」というエッセイで、本を読む場合、各色の付箋を活用していると書いていました。

私の場合は1色の付箋を使用していますが、荒川さんは、例えば小説の本を読む場合には、4色の付箋を使用しているそうです。

4色の付箋を次のように区分します。

①赤の付箋 ・・・・・ 事件、できごとなどの動きのある部分に使用
②黄の付箋 ・・・・・ 登場人物に使用
③青の付箋 ・・・・・ 作品の世界を要約する一節に使用
④紫の付箋 ・・・・・ 引用にふさわしい一節に使用

小説を読んで、その書評を次のように書くといいます。

①小説を書き終えて、いよいよ書評へ。
②あらすじを書くときは赤、引用部分をさがすときは紫というふうに、付箋の色ごとにだとりなおす。
③いつも赤があらすじではない。そのときどきで決める。
④拾いたいところは残す。不要になったところは、付箋を取り除く。

視点が定まらず、いつまでも付箋が残り、泣きたいときもある、といいます。荒川さんはこうした付箋の使い方で書評を書いています。これも文章を書くひとつの方法です。

読むので思う       文学の門