古書的な風景

本の整理を始めました。これはブック・ダイバーでの「ふるぽん秘境めぐり」のため。この催事は今回で4回目。初回から参加していますが、もうそんな回数になるのかと驚いています。

南陀楼綾繁さんの新刊のように、『積んでは崩し』の連続で、はたと手を休めると、本を読み始めてしまいます。まずは整理をと思うのですが、これまたままならない。

いま手元にあるのが、内堀弘著『石神井書林 目録』(晶文社)です。晶文社の「本の本」も最近は見なくなったので、どこかで見つけたら買っておくに越したことはありません。

石神井書林 日録


<今年(一九九四年)の夏、東京の月の輪書林が出した古書目録は「私家版・安田武」と名づけられたもので、評論家安田武をテーマに三千冊もの古書が並んでいる。しかし、このなかに安田自身の著書はというと僅か二、三冊しか含まれていない。
 つまり彼が生きていた時代を地縁交友を含めた様々な文献(古書)で構成してみせたのだが、この力量は理解というより創造的誤解、想像力というより本を引き寄せる妄想力という言葉がふさわしいものであった。なにしろ二、三冊の本から時代やジャンルを自在に組み換えながら数千冊の本へ繋がっていく。いかにも古書的な風景なのだ。> p45

この「古書的な風景」がいい。これが古書の面白く愉しいところでしょうか。

言うまでもなく、「なにしろ二、三冊の本から時代やジャンルを自在に組み換えながら数千冊の本へ繋がっていく」という想像力・妄想力が大事!

ですが、こうした「古書的な風景」を描き、本を揃えることができるかどうか? 月の輪書林さんの編集力は相当なものです。改めて感心します。さて、どのように在庫管理をしているのか、これも知りたいところです。