メールマガジンから

メールマガジン(メルマガ)がどのくらい発信されているのでしょう。有料と無料とがありますが、その数何千、それ以上か。そうしたメルマガの中で、本についてものも数多くあります。

いくつか購読していますが、その中から面白そうなサイトを一つ紹介します。このサイトはメルマガからリンクしており、1回から31回まで本の特集を掲載しています。全部読みまた拾い読みをしても愉しめる内容になっています。

購読のメルマガは紀伊國屋書店メールマガジン「キノマガ」。このサイトを知るきっかけになったのは、2007.04.27発行の第57号、じんぶんや 第31講 四方田犬彦選「読むことのアニマのための50冊」フェアの記事でした。

この記事のなかの「じぶんや」というサイトは2004年9月、紀伊國屋書店新宿本店5階売場に「じんぶんや」という棚が生まれましたことをきっかけに、その棚のテーマの紹介を兼ねた内容になっています。

四方田犬彦さんが冒頭のエッセイで、読書の仕方について、バシュラールを引用にして、次のように語っています。

本を読むさいにもっとも悪い読み方とは、勉強のために、仕事のために読むことである。レポートとか論文を書くために、情報を手に入れるために、目的と効率、それに読み終わる時間などを計算に入れながら、何かを調べるために、キチンと机に坐って読むことである。科学史家のバシュラールはそれを、アニムスの読書と呼んでいた。

本を読むさいにもっとも理想的な読み方とは、勉強とも仕事とも無関係に読むことである。ただ好きな本だけを気の向くままに読み、途中で飽きたら放り出し、またその気になったら手に取り直すといった、気ままな戯れのうちに読むことである。(これを「アニマの読書」と言っています。− 店主)

今回、「読むことのアニマのため」に、四方田さんが50冊の本を選抜しています。

だがそれを書き出してみると、確実にその50冊を貫いて、ここに精神の運動が横たわっていることがわかる。それは書物のなかの運動であるとともに、それに喚起されたわたしの精神の運動でもある。

「精神の運動」、どこかで聞いた言葉です。石川淳さんもよくこの言葉を使っていました。私も精神という言葉が好きなのですが、どうも今の時代とはぐれてしまったようです。しかし読書するということはまさにこの「精神の運動」です。

この運動は最悪な読書法「アニムスの読書」をすることではなく、理想的な読書法である「アニマの読書」を通して活性化します。「アニマの読書」をするには、「好きな本だけ、気のむくままに」読むことが必要になります。

この「じぶんや」には四方田さん以外にも、斎藤美奈子池内紀東浩紀巽孝之沼野充義などの著者が並んでいます。一読に値します。ぜひ。