本日の書評より

日曜日、いつもの朝が始まります。新聞2紙をポストに取りに行き、まず全頁見出しをチェックし、ピンときた記事を読みます。次に書評欄をこれは全頁読みます。自分の関心の薄い分野でも、ハッとする文章に出くわしたりします。

今日の第一のハッとは日経新聞の「今を読み解く」で東北大学教授押谷仁さんが「新型インフルエンザの脅威」を取り上げていました。その記事の中で、次のように書いていました。

過去百年の間に人類は三回のパンデミック(世界規模の大流行)を経験している。このうち最も深刻な被害をもたらしたのは一九一八−一九年のスペイン・インフルエンザである。この流行では世界中で四千万−五千万が亡くなり、日本でも関東大震災をはるかに上回る四千万人近くの死者が出たとされている。

このことすら知らなかったので、驚きました。日本での死者の数が関東大震災を上回ったとは。それぞれに与えた影響を考えると、これは震災以上に価するのでは。その被害を検証したのがこの本です。

  • 速水融『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』(藤原書店)
日本を襲ったスペイン・インフルエンザ―人類とウイルスの第一次世界戦争

その他紹介されている本

もう一つの驚きは朝日新聞に掲載の内澤旬子さん*1『世界屠畜紀行』(解放出版社)です。これは南陀楼綾繁さんの奥様?(共同生活者といったほうがいいのかもしれませんが)の世界の屠畜場めぐりの本です。評者は最相葉月さん。

一箱古本市などで内澤さんをお見かけしますが、あのスリムな身体のどこにこうしたエネルギーがあるのか。不思議なくらいです。最相さんも書いていますが、「抜群な行動力で食肉の現場を活写」している本だそうです。

私も実は書店でこの本を手に取ったのですが、見る幸せよりも見ない幸せを思い、そのまま棚に戻しました。しかし、今回の最相さんの書評を読んで、こういう見えない場所をしっかり見ておくことも必要だと思いました。*2

世界屠畜紀行

*1:内澤旬子さんのブログ「内澤旬子・空礫日記」はこちらから。

*2:「忘れがちな現実」というよりも「見たくない現実」を見ること、知ることも必要だという意味で。