扇田昭彦『唐十郎の劇世界』

久しぶりに懐かしい表紙を発見。らしいと言えばそうなのです。いつだったか新宿花園神社の唐十郎さんの芝居を初めて見ました。そのときの衝撃は忘れられません。

いますぐ思い出されるのは唐十郎、李礼仙、小林薫さんらが出演した芝居です。題名は思い出せませんが、水がやたらに飛び、観客はその水に濡れ、大いに盛り上がりました。その芝居の最後にアンコールで、李礼仙が踊り*1、さらに観客は熱狂しました。

当時は寺山修司天井桟敷唐十郎状況劇場(赤テント)、佐藤信黒テントなどが小劇場の演劇集団でした。なかでも唐十郎さんはいまも唐組を引きいて活動を続けています。*2

時々唐組の芝居を見に行きますが、いつも吸引力のある唐的世界に引き込まれ、一時(いっとき)愉しい夢を見せてもらいます。昨年は小田島雄志さんがいたり、柄本明さんが差し入れの一升瓶を持って、楽屋に行ったり、とにかく様々な人が座り、唐さんの芝居を見ていました。

その唐十郎さんについての本が出版されました。扇田昭彦唐十郎の劇世界』(右文書院、2007年、装幀=横尾忠則+新井隆士)劇評論家・扇田氏の唐十郎に関連する劇評を集めた一冊です。

かつては唐十郎さん*3ほか次の方々が出演していました。

まったく知らない世界だが、掲載写真を見て行くと、緑魔子、李礼仙、不和万作、根津甚八小林薫石橋蓮司渡辺謙麿赤児四谷シモンらが登場しており、ちょっと驚かされる。

こう書くのは「daily-sumus」の林さんです。そう、本当にいろいろな人が出演しています。それも海千山千の、荒唐無稽な、それでも芝居の好きな人たちが織り成す摩訶不思議な芝居、それが唐十郎さんの芝居です。

そういえば、あのテントの怪人 大久保鷹さんはいまどうしているのでしょうか。消息不明。どこかで野たれ死んだのか。ご承知の方はご一報下さい。

唐十郎の劇世界

*1:これがなまめかしく、魅惑的でした。

*2:この持続力はすごい!

*3:いまなお現役、これからも頑張ってほしいと思います。