本はヘンテコな商品だ

池内紀『東京ひとり散歩』(中公新書)より

 もともと本自体がヘンテコな商品なのだ。自然法則からいえば、すべて生あるものは誕生のあと、衰退の過程をたどって消滅する。父親はいずれ息子にとって代わられる。ところが、本だけは衰退と退場のあと、古書店の棚でよみがえり、くり返し誕生する。ここでは父親が息子をこえて、齢とともに若くなる。p120

 

東京ひとり散歩 (中公新書)

東京ひとり散歩 (中公新書)

  • 作者:紀, 池内
  • 発売日: 2009/09/01
  • メディア: 新書