『生きながらえる術(すべ)』鷲田清一(講談社)

この本は鷲田清一さんが考えた生きながらえる生活術についてまとめた本です。いくつも付箋を付けたなかで、これはメモしておこうと思った箇所がいくつもありました。

生きながらえる術

生きながらえる術

 

例えば、そのなかのひとつは次の箇所です。鷲田さんは宮本常一さんの報告の中から、次の箇所を引用しています。

あとから来たものが田の家の石垣をつくとき、やっぱり粗末なことはできないものである。前に仕事に来たものがザツな仕事をしておくと、こちらもついザツな仕事をする。・・・・・  結局いい仕事をしておけば、それは自分ばかりでなく、あとから来るものも、その気持ちを受けついでくれるものだ。

(『庶民の発見』講談社学術文庫

宮本は、石工のこの言葉に、誰にも褒められなくとも命じられなくとも「自らが自らに命令することのできる尊さ」を見た。職人の矜持とは、約(つづ)めればそういうことなのだろう。p106 

 鷲田さんの本を読んだあとは、宮本さんの本をじっくり読んでみたくなりました。

庶民の発見 (講談社学術文庫)

庶民の発見 (講談社学術文庫)