若松英輔『言葉の贈り物』(亜紀書房)より

働くとは自らを「つくり直すこと」である、と哲学者シモーヌ・ヴェイユ(1909−1943)は書いている。働くことの本質は、苦役ではない。むしろ人は、どんな形であれ「働く」ことで日々、自己を築き上げているのであると彼女はいう。p34

言葉の贈り物


人間の偉大さとは、つねに、人間が自分の生を再創造することである。自分に与えられているものをつくり直すこと。自分が仕方なく受けとっているものをも、きたえ直すこと。労働を通じて人間は、自分の自然的生をつくり出す。
(「労働の神秘」『重力と恩寵』田辺保訳)


工場日記 (ちくま学芸文庫)        重力と恩寵―シモーヌ・ヴェイユ『カイエ』抄 (ちくま学芸文庫)