書評が書評でなくなるとき

週刊朝日」6月23日号の「週刊図書館」はよく読む書評ページのひとつです。読む本を見つけるときなど、よく利用しています。なかでも、永江朗さんの書評「ベストセラー解読」が毎週気になっています。

今週も、水野和夫『閉じていく帝国と逆説の21世紀経済』(集英社新書)を解説しています。永江さんの書評には硬軟どちらの分野でも対応可能な柔軟さと明快さがあります。

今回もまた、永江さんの書評を読んで、それでわかったような気持ちになってしまい、通読もせず、もちろん本も買わなくなってしまいます。これでわかったという時点で、書評が書評でなくなります。

これがまずい!書評はまず関心を持ってもらうことから始まり、推奨の本を買ってもらうことが終点です。そしてそれを読んでもらう。しかし上手く要約されると、それ以上先に進みません。

これがわかる書評の最大の弱点です。注目・関心から購買・満足に至るまでの階段はかなり長いのです。その階段を上がるための道案内が書評なのですが、そこに至らず頓挫してしまうことが多々あるのです。

※同誌「週刊図書館」のなかで、毎回読んでいるコラムに、斎藤美奈子さんの「今週の名言奇言」があります。これもまた読ませる書評です。

※もう一冊、吉田俊哉『大予言』(集英社新書)をメモしておきます。これは「サンデー毎日」の「今週の新刊」で岡崎武志さんおすすめの新書です。

閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済 (集英社新書)       大予言 「歴史の尺度」が示す未来 (集英社新書)